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宛名職人V15(株式会社アジェンダ)から


 25日、日曜当番医です。

30日(金曜日)
 午後の外来でのこと。久しぶりにハラハラしてアドレナリンを大量放出。ぐったりと放心状態になりました。在宅患者さんの褥瘡の処置しようと褥瘡の周囲に局所麻酔を注射しました。褥瘡とは床ずれのことです。初めて見る人は、皮膚にできた痛々しい傷にびっくりすると思います。褥瘡には大きなポケットができていて、そこには膿がたまっていました。それを押し出し、麻酔を済ませてメスでおよそ5cm皮膚をカットしました。その直後、拍動のある出血がドクドクと始まりました。どうやら小さな動脈を切ったらしい。思わずガーゼで押さえて血を止めようとしました。
  しかし、簡単には血が止まらない。補助についていた看護師さんは結紮に使う糸を取りに行きました。1人になった私は近くにいたデイケア所長にお願いして手袋をつけてもらい圧迫止血をしました。所長さんは外科にいた看護師さんだったので手際がよく力強いです。つづけてたまたま外来に来た訪問看護ステーションの看護師にお願いして血圧を測ったり、点滴を開始しました。それから結紮を何度かくりかえし、やっと出血が止まりました。
  午後の外来は看護師さんが少ないというのが問題です。病院とちがって診療所は零細ですからもともとスタッフが少ないのです。それなのに訪問診療に非常勤の先生と看護師さんが出かけると、残る看護師さんは1人になってしまいます。こんなことが手術室でおこってもまったく怖くありませんが、看護師さんが少ない診療所の午後の外来でおこったものですからたいへんでした。今後は看護師さんを確保してやらねばと反省しました。それにしてもいろんな部署の看護師さんの連携プレーのおかげで難局を乗り越えることができました。この場を借りてお礼申し上げます。


28日(水曜日)
 今年初めてのポッドキャストを収録しました。今回は、よしの訪問看護ステーション所長横尾さんにゲスト出演してもらいました。元気のない私とは対照的に横尾さんはパワフル。ステーション看護師の実情を教えてもらい、いっぱい元気ももらいました。ポッドキャスト(Podcast)を是非聴いてください。


27日(火曜日)
 今ごろになってあわててインフルエンザ予防接種ワクチンを打ちにくる人が最近3人いました。すでにシーズンに入っているし、抗体ができるまで2週間ぐらいかかります。ですからインフルエンザにかかったら治療すればいいですよと説明しても予防接種を打って帰られます。なぜそこまでかたくなに予防ワクチンを打つのだろうと思います。そこまで熱心だったらどうして去年のうちに接種を済ましておかなかったのだろうと不思議に思います。
 もう一つ、これだけインフルエンザの患者さんが多いと別の症状で来院されてから2,3日後インフルエンザ感染症になって来院する人もおられます。たぶん待合室に座っている間に空気感染したのかもしれません。ほんとうに気の毒な人たちです。
 インフルエンザの治療薬の1つにリレンザという吸入薬がありますが、これは思った以上に効きます。10才代にはタミフル原則使用禁止ですからリレンザを使うわけですが、使い方さえマスターすれば結構いい薬です。


26日(月曜日)
 当院の患者さんで最高齢の人が日曜当番医の日に入院になりました。急に呼吸が苦しくなり、原因を調べ治療するためです。この方は106歳ですから1日でも入院期間を短くして在宅に帰っていただきたいと思っています。在宅といいましてもグループホームの入所者ですからグループホームに帰ります。106歳なのにびっくりするほど歩きが早いし、笑ったり感情が豊かです。
 つぶやきに取り上げたのは、グループホームスタッフの1人が様子を身に私服で来てくれたことです。これまでもグループホームの入所者がときどき入院しましたが、その時よくスタッフがお見舞いに来ていました。私はこういう行動を自然ととれることはとてもすばらしいことだと思います。仕事として来るのではなく、人間として気になるからちょっと様子を見に行こうというのがいい。
 さて、きょうも外来には多くのインフルエンザ罹患者で混雑しました。外来患者さんの中には少ないですが、感染性胃腸炎の方もおられます。慢性疾患で定期的に来院している患者さんを診察したあとは、インフルエンザの患者さんが多いので帰宅したら必ずうがいと手洗いをするように指導して帰しています。


25日(日曜日)
 たいへん忙しい当番医でした。朝9時から夕方6時すぎまで昼休み1時間を除いて診察と検査の連続。58人が受診され、A型インフルエンザの患者さんが40人前後でした。途中からインフルエンザ迅速診断キットを使って鼻汁をぬぐい取るのを看護師さんに代わってもらいました。これによって診察能率が上がり、ストレスが減りました。
 検査結果が陽性になりA型インフルエンザと診断できた場合は、インフルエンザ特効薬のタミフルやリレンザの説明、陰性だった場合は発熱の原因の説明に苦労しました。


23日(金曜日)
 今年最大の寒波襲来のとても寒い夜、自宅にある灯油がなくなったのでガソリンスタンドに買いに行きました。ここのスタンドは当法人が顧客になっていて、しかも当院で社員の定期健康診断をしています。そういう理由があって私は社員の顔を知っています。なのにこの寒空の中、スタンドで何十分も立って待つことになり、身も心も芯まで冷えました。
 灯油はセルフだから自分で並んでくださいと言われ、ガソリン給油中だったクルマを置き去りに灯油缶を両手に持って並びました。しばらくすると最後尾はあの軽自動車ですからともう一度並び直すように言われ、寒さの中、やっと自分の順番になりました。しかし、ここで終わらないのがついてない証拠。カードを通しても何も起こりません。つまり器械がカードを受け付けてくれません。何回やってもダメ。なんでこうなるの。周りの冷たい視線を避けて、スタッフを呼びました。
 やっとスタッフがやって来て、やはり受け付けられませんのメッセージが出るのみ。ちょっと待っていてくださいとスタッフは事務所に入って行きました。その間、ぽつんと寒いところに立っていましたが、それよりも周りの視線が冷たい。私は完全に悪者かお馬鹿さんに見えています。待つこと約5分。何の音沙汰もないので事務所に行ってみました。何やらやっていますが、何も説明してくれないのでこちらも寒さで怒ってしまって、どうなっているのときいてみると、カードの磁気が弱くなっているからでしょうかねと答えました。
 お客様を寒空のもとに待たせて何も説明もしないとは何たることかと思いました。私たちも患者さんを予想以上に待たせることがありますが、その場合はどういう理由でそうなっているのか説明してあげなければいけないと改めて思った次第でした。


22日(木曜日)
 最近、BBSへの書き込みが多くうれしく思っています。BBS管理人として日に数回以上見ています。たまに迷惑コメントがあって出所を確認し削除後アクセス制限をかけています。ほんのこの間までは大阪府からの迷惑コメントだったのですが、昨年末から千葉県からの迷惑コメントに変わっています。IPアドレスを毎回変えてくるのでイタチごっこで何とかならないものかと思っています。
 さて、ちょっと毎日の診療にバテぎみなので今夜のつぶやきはこれで終わります。



21日(水曜日)
  当院で女性を意識した女性医師による女性外来もやってみようと去年11月から取り組んできました。実績はちらほらですが、ニーズはあると思っています。鹿児島県のホームページに「女性にやさしい医療機関として」 登録されました。→
 女性の患者さんの立場にすると、男性医師よりも女性医師に診て欲しいという場合があると思います。診察内容が女性特有であったり、言いにくかったり、見せるのが恥ずかしかったり…。
 女性医師による外来を話すときに必ず社会的文化的な性差いわゆるジェンダーという言葉が使われます。結論を先に書くと、医療ではジェンダーを重視し、職場ではジェンダーフリーを理想とします。社会的文化的偏見や制度的な障害から自由になるという意味のジェンダーフリーです。
 いずれにせよ。女性外来はいいことですが、運営する副院長自身が子育て中で小学校のPTA役員も兼ねていることもあり、子どもの学校行事をやりくりしながら何とかやっています。


20日(火曜日)
 第44代アメリカ大統領就任式を生放送で見たいので夕食後すぐに床につき、夜11時起きてBSテレビを見ています。
  第39代カーター大統領夫妻、第41代第43代の親子のブッシュ大統領夫妻、第42代クリントン大統領夫妻も出席し、歴代の共和党民主党大統領がお互いに抱き合い、握手し、挨拶しています。このあたりがすごい。アメリカの強さ、結束の強さ、アメリカの底力を感じます。
 バラク・オバマ大統領就任式。街頭にはものすごい大勢の観衆が集まっています。バラク・オバマ大統領はアメリカ建国以来初めての黒人大統領であるし、47才と若い大統領です。人種、党派の壁を越えて結束する自由の国アメリカ、そのためのリーダーの元に結束するアメリカ国民には今さらながら感動します。


19日(月曜日)
 A型インフルエンザが確実に流行っています。臨床現場を診ている立場からもそう感じますし、サーベイランスの報告を見ても流行期に入っています。私自身と私の家族はインフルエンザ予防接種を毎年2回おこなって絶対に感染しないようにしていますが、ほんとうに予防できるか疑問で診察のたびに手洗いをくりかえしています。きょうは診察室ではげしく咳をする患者さんがいました。高熱はないし、気管支炎だろうと思ったのですが、問診で職場にインフルエンザに感染した人がいたとわかったので念のため抗体検査をしたところ私の予想に反してA型インフルエンザ抗体陽性になりました。たっぷりウイルスを撒かれてしまったなと苦笑しましたが、明日ダウンしてなるものかとしつこくうがいをおこないました。
 さて、夜は医師会の新年会に出席し、昼間のことは忘れてついついワインを飲みすぎてしました。会員の先生方と話をしましたが、不思議と悲観的な話題は少ないでした。医療界は今も冬の時代が続いているのであきらめムードがあるからでしょう。


16日(金曜日)
 今年初めての胃瘻造設をおこないました。対象者は95才を越えた方です。食べないことを除けばとても元気な人です。認知症が原因で食べることを忘れてしまったようです。いろんな検査をしても食欲不振を説明できる原因がみあたりません。
  100才に近い人にも胃瘻を造設する必要があるのだろうかという問題はあろうかと思いますが、家族から強く頼まれたら断るわけにいきません。今のところ今日の患者さん以降2人胃瘻造設予定者がおられますが、この2人も95才以上です。これから超高齢者の胃瘻造設が増えていくものと思いますが、ある程度侵襲的な治療であるのでリスクを伴います。適応があるかどうかよく見極めて、もちろん積極的な家族の同意があっておこなっていきたいと考えています。


15日(木曜日)
 A型インフルエンザの患者さんが今週になって増えたと思っていましたが、きょうはさらに勢いが増してきているように感じます。若い人に多いです。
 わたしは 自分自身を守るために診察のたびに手洗いです。たまにはうがいもおこないます。このまま流行が爆発すれば今年はタミフルが不足しそうだし、タミフルは十代には使えないので吸入薬のリレンザも用意しています。
 1月25日は当院は日曜当番医です。


14日(水曜日)
 ホームページの充実化を図るためイーデザインさんにそのリニューアルと定期的な更新をしていただくことにしました。代表取締役のHさんは鹿児島マックユーザーの会を通して知り合った方ですが、高校の後輩でもあり、通じるものがありました。彼は、増患増収ならぬ増ファン増収と言っていました。内村川上内科のファンがいつも気にしてホームページを訪れ、病気になったら受診してくれる。知り合いにも内村川上内科を宣伝してくれる。
  私はあまりゴタゴタしたホームページは好きではありません。しかし,シンプル過ぎたり,デザインの壊れたサイトはもっと嫌です。そういう点から考えると、Web標準を説いてくれたHさんの会社と契約しようとなった次第です。「つぶやき」、「医療と介護で語りもんそ」はこれまでどおり続けていきます。コンテンツは私たちの希望がそのまま反映されます。そしていままでよりも更新スピードをアップし、宣伝媒体としてのホームページをより前面に出していきたいと思っています。


13日(火曜日)
 C型肝炎ウイルス遺伝子解析によるテーラーメイド治療という講演を聞きに出かけました。感染しているC型肝炎ウイルスの遺伝子配列を調べると、インターフェロン治療の有効性が治療前にわかるという話でした。かなり説得力のある話でしたが、一般臨床家としてはその検査費用はいくらかかるのか、すぐにでも自分も検査をオーダーできるのかという点です。講師の先生によると、SRLという大手検査センターに1万円でおこなってもらっているそうでしたが、それは大学病院だからであって診療所からオーダーすればもっと高くつきそうです。 それにしてもここ数年で医学もすすんできたなあというのが正直な感想です。ヒトの遺伝子配列もすでに解析され決定されていますが、それと自分の遺伝子配列を比べれば、自分がいつごろどんな病気を発症するかわかるわけです。アメリカでは難病を発症することがわかり、生命保険に入れなかったケースもあると聞いています。
 だんだん話題が面白くなくなってきましたが、きょうは連休明けでいまいち診療の波に乗れませんでした。ただインフルエンザの患者さんが少し増えてきたなあという印象を持ちました。


12日(月曜日)
 ちょっとつぶやきをさぼっていました。つぶやく話題に乏しかったことが主な理由です。
 3連休中、南九州も冷蔵庫の中のように寒いので、久しぶりにスケートをしてみようとえびの高原のスケート場に出かけました。えびの高原はマイナス2℃、道路脇にシカが出てきて迎えてくれました。リングは人でいっぱい、背景に冠雪した韓国岳が見えました。20数年ぶりの滑りは相変わらずのスタイル、それでも子どもにはこうやって滑るんだぞと教えると、帰るときは自分と同じレベルになっていました。自分としては骨折しないでよかったと安堵しました。
  帰路、今度はシカの一群に出会いました。きっとシカの家族だったと思います。車道に何台もクルマが停まり、近くにいたあるお母さんが小さな子どもさんに向かってあまりシカに近づいて人間に慣れさせてはいけないよと言った言葉がとても印象的でした。




7日(水曜日)
 インフルエンザが昨年12月末から発生しています。当院でもタミフル処方が少しずつ増えていきそうです。今週末に強い寒波が入るようなのでそれからインフルエンザが一気に流行するかもしれません。また、感染性胃腸炎の患者さんも昨年12月から持続的に来院数が多いです。ノロウイルスによる感染性胃腸炎が1番心配で患者さんも気にするところです。最近、このノロウイルスを1件2500円程度で検査できるようになりました。11月ごろまでは1件12000円もかかる高価な検査でした。保険診療では検査できませんが、自費診療で検査可能です。


6日(火曜日)
 ことしもたくさんの年賀状をいただきました。年賀状をくださった方々にこの場を借りて感謝申し上げます。
  私に年賀状を下さる方々をグループ化すると、仕事関係の業者、医師仲間、高原町の人たち、明輝会職員、友人、親戚です。特筆すべきは以前働いていた高原町立病院の方々からの年賀状が多いことです。高原の人からの年賀状は毎年とても楽しみにしています。今年は年賀状管理ソフトのデータ消失というトラブルがあり、旧年中に年賀状を出すことができず、いただいた方に返信することにしました。それでも全体として300人以上という相当数になるので業者と明輝会職員の方々には出さないということにしました。しかし、年賀状をくださった業者や職員は新年に会ったときに印象がちがいます。


せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ


5日(月曜日)
  仕事始め。理事長に続いて私も年頭の挨拶をしました。話の内容は元旦のつぶやきをネタにしました。その内容を確認しようと院長室に朝着いてからインターネットをしようとしましたが,接続不能になっていて、確認できずそのまま挨拶するハメになってしまいました。きのう病棟の看護師さんや深夜の往診時に外来看護師さんからも休みの間インターネットができなかったと聞いていましたが、本当だったようです。これはモデムのトラブルだからモデムを再起動すれば すぐに解決できると私は思いましたが、私には何の連絡もなかったし、もし尋ねられてもモデムがどこにあるのか知りませんからすぐには解決できなかったかもしれません。
 ネットができない状態がいつからだったか。これはとても大きな問題です。年末年始は大学の医局の先生たちがリレーで日当直をしてくださいました。ただでさえ、やりたくないアルバイトです。私も正月当直を何回もしましたが、退屈です。いまどきネットができない医師当直室に監禁されるのは苦痛以外の何者でもありません。
 年初めからクリニックとして大失態をしてしまったとはずかしい気持ちです。いろんな場で当院はいつでもどこでもインターネットができるネット環境を構築していますと自慢話をしてきましたが、インターネットができない休みが続いたとは私としては憤慨です。これをきっかけに2つある医師当直室の古いマックをWindows環境も使える最新のマックに買い替えようと思います。


1日(木曜日)
 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 さて、大晦日のテレビで前ダイエー王監督がテレビで言っていました。人間だからミスをするというのはプロでは通用しない。プロはミスをしてはいけない。ミスしないのがプロである。なんとも厳しい言葉でした。私たちは人間だから完全はあり得ないとこれまでセーフティーネットを引いて自分たちのミスを仕方ないものとしていました。しかし、今年はもっとプロ意識を持って働くことを目標にしたいと思います。
またもうひとつ思ったことがあります。最近よく耳にする「レーバラー(laborer)」から「ワーカー(worker)」へというキャッチフレーズについてです。明輝会の多くの職員の中に、命じられた仕事だけをこなす「レーバラー」から 自分で創意工夫し自発的にやりたい仕事に取り組む「ワーカー」が増えていくといいなと思います。できることなら「ワーカー」の上をいく「プレイヤー(player)」になってほしいものです。



宛名職人V15(株式会社アジェンダ)から