2週間前に投稿した「防災士×GAS」は長文だったので、読む人は少ないだろうなと思っていたのですが、当院 吉野東ホームクリニックのBCP担当の職員にも興味をもってもらえたので、では実際にGoogleのサービスを駆使したらどんな災害時の安否確認ツールができるのか挑戦してみました。
1. 職員安否確認メールの送信を「手動」から「自律」へ
災害発生からの30分〜1時間は、自分の身を守り、周囲の状況を把握するだけで手一杯だと思い、調べると送信は自動でできそうでしたので、システムを「手動型」から、自動で動き出す「自律型」へと進化させました。地震情報のAPIと連携させて、設定した震度以上の地震を検知すると、全職員へ即座に安否確認メールを自動送信します。
【その他機能】
- リアルタイム通知&可視化: 安否確認メールにあるGoogleフォームに回答があると即座にGoogle Chatへ通知。同時に「誰が未回答か」をリアルタイムで一覧化し、電話確認が必要な人を一目で特定できます。
- 再通知: 未回答者に対し、30分後〜24時間後など10段階の設定で自動的に再送メールを送るON/OFF機能を搭載。
- 対面との統合: 勤務時間の際は、職員に点呼等があると思うので、チェックを入れるだけで未回答リストから自動除外され、二度手間の報告を省けます。
- エラーの可視化: メアド変更や容量不足等でメールが送れなかった職員は「赤文字」で表示。
2. 在宅療養支援診療所としての「安否確認」
当院は在宅患者さんを支える診療所でもあります。職員だけでなく、在宅患者さんの安全をどう守るか。同スプレッドシート内で未確認者の情報を一目で共有できるようダッシュボード化しました。

- 要支援ステータスの共有: 電話や訪問で「要支援」と判明し入力が切り替わった際、Google Chatと連携し即通知。「誰が助けを必要としているか」を全員で共有します。

- Googleマップでの「安否MAP」: 患者名簿と地図を連動。優先度や状況に応じて地図上のピンの色が変わるため、どのエリアへ確認・応援人材を派遣すべきか直感的に判断できます。

- 対応ログの自動保存: 担当者を入力すると自動でタイムスタンプが押され、「誰がいつ対応したか」の記録が正確に残ります。

3. オフラインへの備え
ツールを作成しても、基地局の被災や火災の延焼、バッテリー切れでネットが遮断されれば使えません。そこで、次第にネットが使えなくなることを想定して、通信が生きている間に「最新の名簿等をPDFで自動書き出し」する機能を備えました。QRコードを準備し読み取りその瞬間の最新リスト(オフライン用)を取得可能。最悪の事態には、紙媒体を保管し「アナログ」対応の準備をするようにしたいです。
さいごに、Google Workspaceを活用したこのツールは、決して「魔法の杖」ではありません。通信環境が不安定な災害時には、開くことすらできない「開かずの箱」になる可能性もあります。そのため、あくまで補助的な存在として位置づけています。
しかし、もしわずかでも使える環境があるならば、一分一秒を争う「状況把握」「避難」「救助」において、デジタルの力は大きな意味を持ちます。情報収集や集計といった事務的作業をシステムに任せることで、人は「命を守るための判断」に最大限の時間を割くことができるからです。
システムが直接的に人を救うことはありませんが、このツールがいつか人を救うための確かな支えになれるように当院のBCP担当者とブラッシュアップをしたいと思います。今後はAppSheetというノーコードで開発できるアプリと組み合わせたものに進化させる予定ですが、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に沿った運用をしていこうと思います。