ダヴィ

当院は隔週交代で朝礼のスピーチをしている。院長である私と各部署の代表がスピーチするのだが、部署は持ち回りだ。
今朝の私のスピーチは正月からテーマを決めていた。それは、タヴィについて。タヴィとはTAVIのこと。Transcatheter Aortic Valve Implantation、つまり、経カテーテル大動脈弁植え込み術の話をした。きっかけは、奇しくも今年正月に病棟患者と在宅患者が大動脈弁狭窄症という同じ病気で同じ日に急死したからだ。急死と言っても、予想できた死。いつかは死が訪れるということを本人か家族に前もって説明してあった。それが随分と前で忘れられていたかもしれない。今回お二人とも90才台と高齢であったが、1人は明確にTAVIを拒否した。TAVIを拒否してピンピンコロリの道を選択したというわけだ。ついこの間まで心臓弁膜症の手術と言えば開胸手術で、とても大きな大変な手術であった。手術そのものがリスクに思えて、とても高齢者には勧めなかった。しかし、TAVIは違う。血管を刺すか、心臓を刺して、弁を留置するのだ。充分高齢者でもできる。いや、高齢者こそ適応なのだ。
亡くなられたという連絡で主治医としてやはり残念だった。当院の開院式のテープカットをしていただいた特別な患者でもあった。92才だったが、TAVIは1時間で済んで2週間で退院できると、もっとしつこくTAVIを勧めればよかった。残された介護度5の奥さんが泣いていた。

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