台風5号が鹿児島本土直撃という情報があったため様々な影響が出た。土曜日夜はろうけん青空の暑気払いの親和会ビアパーティーに招待されていたが、中止だった。日曜日は日本臨床栄養学会の研修をまる1日受けるつもりで申し込んでいたが、日勤当直の先生が来れないことを想定してキャンセルした。朝病棟から電話連絡があった。日勤の先生はどうやら来られたようだが、14年間も癌患者さんとして付き合った人であったので、自宅に居るからいつでも呼んでと待っていた。ここ数か月間呼吸困難で苦しんだ人であったので、看護師にそのままにしておいて、点滴も何も処置しないでおいてと伝えた。1時間ほどで再び連絡があり、暴風雨の中、病棟に赴いた。苦悶な表情はなかったが、相当に汗をかいたあとで極限まで交感神経が激昂したに違いないと想像した。よく頑張られましたと声をかけてあげた。14年前に大学病院からの紹介状を持って来られた人だった。すでに肺に転移があったが、1年ぐらい経った日にもう一度大学病院に行きませんかと勧めた。もう治療はしないと決めたからという返事だった。ゆっくりと癌は進行し、ガス交換が次第にできなくなった。最期まで自宅に帰りたいと言っていた。先週は短時間だけ自宅に帰って喜んでいたが、顔は不安でいっぱいだった。正直一人では生活できないと思ったのだろう。それでも台風が過ぎ去ってから退院することになっていた。酸素10リットル吸いながらもつねに苦しんでいたので、主治医としてこれ以上の延命処置はしたくなかったのだ。
14年の付き合い
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