ある患者さんの死

水曜日午前中は私は予約された検査やそのほかに時間のかかる医療行為をする日と決めています。だから、きょうはエコー、内視鏡検査そしてボトックス注射をしました。その中の女性患者さんで腹部エコーに来られた方がいました。予約簿を見て、私はハッとしました。この方の旦那様はどうなったのだろう。倒れて緊急搬送され搬送先の病院から医療情報提供を求められ提供したという経緯がありました。おはようございますと挨拶をして、すぐに旦那様のことを尋ねました。するとすぐに横にいた看護師が患者さんの涙を拭きました。そうだったのかと直感し、いつだったのですかと、私はどんどん質問をしてしまいました。夫婦ふたりの健康管理を10年以上してきて、今のところ大丈夫ですと言ってきたのに。くも膜下出血を起こして自宅の庭掃除中に亡くなったそうです。ものの30分も経たないうちに呼吸が止まったので、近くにいた高校生の孫さんがすぐに蘇生を始めて息を吹き返したというからドラマみたいです。私の大好きな患者さんでした。いつも私の診察が終わると元気になったと喜ばれ、診察室のドアを開けてからもう一度振り向いて、笑顔で手を上げて帰って行かれる方でした。まさか脳動脈瘤があったとは、さすがにみつけられなかった。残念です。もっと長生きしてもらうつもりだったのに。

ある患者さんの死」への1件のフィードバック

  1. びびんこ

    「まさか」という言葉・・・あるホスピス医師の本にありました。人生、登り坂、下り坂そして思いもよらない「まさかの〇〇」
    できれば、わが身にに降りかかって欲しくない言葉です。
    完璧に予見して、大事に至る前に処置をして最悪の状態から逃れることができればと思いますが・・・
    歳を重ね、子供が独り立ちして、夫婦二人だけの生活になります。この状態がずっと続くものと勝手に思いますが、大方どちらか一人だけになります。相方を失い、そのショックで悲しさや寂しさから抜け出されずに2年、3年と長期にわたり引き込みが続く方も多いということです。
    早く立ち直る人と、そうでない人の差は、何でしょうかね。「まさかの〇〇}が起これば、その時はショックで嘆き悲しみ、泣き叫び、尋常の振る舞いが出来ないくらい突き落とされる。そこで、「現状の心をさらけ出す」人の方が早く立ち直りやすい傾向があると話しておられました。それと、よく聞く言葉ですが、苦労や失敗を乗り越えた人ほど立ち直りが早いということです。、

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